Japanese
English
臨床実験
Exophthalmic Ophthalmoplegiaの症例に就て
A case report on Exophthalmic Ophthalmoplegia
濱 田忍
1
,
山田 保夫
1
1国立大阪病院
pp.580-582
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201868
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バセドー氏病の主要症候の一つと見做されている眼球突出は,古来幾多論争の的となつた複雑な現象である。その病理的説明としては,甲状腺機能が昂進して,分泌物質であるチロキシンが血中に過剩に存在する事によつて起つてくる中毒症状であるとされている。そこで当然動物実験によってチロキシンの大量を投与して眼球突出を起そうとしてあらゆる試みが為されたが,之等はすべて失敗に帰した。他方臨床的に,バセドー氏病のうち,基礎代謝の低いもの,正平又は極く僅かに昂進したものゝ中に,悪性の眼球突出を来し,該患者の治療の目的で甲状腺腫の切除手術を行うと,その後更に眼症状が増悪してくると云う様な例が観察されていた。此の様にして甲状腺切除を行った患者のうちには,甚だしい眼球突出を起して,角膜の浸潤,潰瘍を起してくるものが認められていた。而も之等の悪性眼球突出症は,バセドー氏病の全身症状を殆んど欠いているのである。そこで甲状腺の機能亢進と云う事は,或程度眼球突出と関連性があるかも知れないが,血中チロキシンの多少によつて眼球突出の度合が決まると云う様な密接か相関性のないと云う事は明かである。一方Marine (1931〜34),Friedgood (1934),Mulvanyその他の諸氏は,動物実験,殊にモルモツトを使用して,脳下垂体前葉の甲状腺刺戟ホルモンを投与して,著明な眼球突出を起す事に成功した。
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