特集 第7回臨床眼科学會
普通講演
(76)1%ILOTYCIN軟膏によるTRACHOMA集團治療の成績
鴻 忠義
1
1千葉大學眼科
pp.343-346
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201797
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ILOTYCIN (以下ITと略記す)の性状1)2)には(1)弱アルカリ性に於て抗菌力が最も強く,水溶液のpHは9.0である。(2)低温並びに室温に於て略々安定容ある。(3)抗菌スペクトルが非常に廣く主としてグラム陽性菌に對してであるがナイセリア及びヘモフイリス等のグラム陰性菌にも,亦リケツチア及び比較的大型のウイルスにも感受性があり,且つ他の抗生剤と交叉耐性が認められない,等と眼科領域から見て寔に頼もしい特徴を持つているが眼科的使用は曩に鴻・陶山3)が1%IT軟膏を各種外眼部疾患に用いた成績を報告したのが最初のもので,其の後1,2が散見されるに過ぎない。ITのTRACHOMA (以下Tr.と略記す)に對する効果は私共の報告の中で1%IT軟膏を1日1乃至3回の点入を行うとP氏小體は3乃至5日で消失し,Tr.Ⅰには著効,Tr.Ⅱ及びTr.Ⅲにも有効であると述べておいたが,今春來5小・中・高等學校のTr.集團治療に1%IT軟膏を使用して良好な成績を收め,Tr.に對する効果を確認し得たので茲に報告します。
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