特集 第7回臨床眼科学會
普通講演
(60)異常兒に於ける頸部動靜脈吻合術の眼科的知見
大岡 良子
1
,
大神 妙子
1
1東邦大學眼科
pp.338-341
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201796
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所謂異常兒即ち精神薄弱兒の治療に關しては,從來,藥物,放射線,或は發熱療法等種々の方法が試みられてきた。その中で,精神薄弱兒の腦代謝が正常兒に比して低い點に着目した一治療法として,グルタミン酸投與療法がある。精神薄弱兒の腦代謝低下は,腦脊髓液内ビタミンC測定に際して,還元型ビタミンC量が智能程度に略々比例すること——ビタミンCが腦組織呼吸に關係する事は實驗的に確められている——,更に精神薄弱兒の生體腦内における検索で,腦皮質病變部の還元型ビタミンC量が特に少いこと,又精神薄弱兒の腦氣頭像所見として,屡々腦實質萎縮像が認められる等の諸點からも推察されるところである。そこで,腦組織呼吸促進作用を有するグルタミン酸を投與して,その治療効果を期待したのである。之と同じ目的で,頸部動靜脈間に吻合を行い,血流を一部逆轉させて腦循環血量を増加せしめる事によつて,腦代謝促進をはかろうとする手術が精神薄弱兒のみならず,成人の腦血管傷害による疾患に對しても行われている。
異常兒が,身體の發育異常に伴つて種々眼症状を呈する事は,古くより論述せられてきたところである。
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