特集 第7回臨床眼科学會
普通講演
(6)網膜中心靜脈血壓に關する研究(第4報)
坂上 俊彦
1
1慶應大學眼科
pp.129-135
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201742
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網膜中心靜脈の搏動がVon Tright及びCocciusによつて初めて記載されて以來,網膜中心靜脈血壓の研究は,内外に於て幾多行われて來ている。然るに網膜靜脈搏動は,人眼に於ても生理的に認められるものもあり,又近距離に對する強い調節,深い吸氣或はアミールニトリツトの吸收等によつて容易に搏動現象が認められる如く,網膜中心靜脈壓(以下N.V.D.と略す)は非常に低い閾値であり,又眼蜷と別離しては考えられぬ値であつて,その測定は困難であり,業績及び文献の少い所以でもある。
私は曩に先報に於て,水柱壓150粍迄加壓可能の特殊なDynamometerを考案し,本機及び慶大式電氣眼壓計を使用して,網膜中心靜脈の基礎眼壓直線作成及び,健康正常眼に於けるN.V.D.の測定を行い,初壓22.2m.m.Hg.慶大式電氣眼壓計測定値にて67.8ミリアムペアー(以下m.A.と略す)に對してN.V.Dのは23.8m.m.Hg.(73.8m.A.)平均すると,N.V.D.は眼壓より0.5〜1,5m.m.Hg高い事が測定された。今回この基礎眼壓直線を使用して,N.V.D.の體位によつて起る變動,即ち被驗者を坐位より水平仰臥位に轉じた直後及び10分後のN.V.D.の變化,及び臥位より坐位に移つた直後及び10分後のN.V.D.の變化の測定を行い,夫々比較検討及統計學的觀察を行つたのでこゝに報告する。
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