講座
血壓について
藤井 久四郞
1
1東京醫科齒科大學
pp.25-27
発行日 1952年4月1日
Published Date 1952/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200082
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心臓の搏動によつて血液が血管内に壓出されて全身に流れるが,それは血壓の差によるものである。動脈血壓は高く靜脈血壓は低い。そして心臓を離れるほど血壓が下り,血液は低い方へ流れてゆく。心臓收縮期にあたる血壓は高くて最高血壓といゝ,心臓擴張期のそれは低くて最低血壓という。人の場合は上肢の動脈血壓をもつて血壓とするが,血壓は年齡,運動,精神状態,食物,氣温などいろいろの條件で變化する。20歳頃の血壓はおよそ最高120mm,最低80mmである。これは水銀柱の長さであらわすことになつている。この差を脈壓といゝ,最高,最低,脈壓の比は3:2:1の如き關係にある。年齢の増すごと2歳毎に1mm増すとする概算の仕方もある。例えば40歳ならば120+20/2=130となる。
心臓が衰弱ずれば最高血壓が下つて來るし,血管の弾力性が失われて硬化するとか,または血管が收縮して血流への抵抗が増してくればやはり血壓が上つて來る。年齢とともに血管の彈力性が低下するから生理的にも血壓が高くなつて來るのであるが,病的には高過ぎることもあり,低過ぎることもある。そしてともに早晩血行障碍の原因となる。
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