臨床實驗
私はトラコーマをどう治療しているか
金田 利平
1
1札幌天使病院眼科
pp.25-28
発行日 1954年1月15日
Published Date 1954/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201711
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トラコーマ(以下Tr.)に大變効果あるSulfa劑(サルフアダイアジン,サルフアチアゾール等)抗生劑(テラマイシン,オーレオマイシン等)が先ず自由に使用し得る樣になつた現在,Tr.の病期病型特に病期によりどの樣な治療をしたらよいか標準的なものが確定的になつてもよい時期です。適正な治療は正しき診斷に依て可能です。では全ての特に初期Tr.は何人も正しき診斷が可能かというと不可能です。Tr.が急性に或は慢性に發病するものか眞の初發病状が未決定だからTr.の經過に不明な點がある。
故に全てのTr.の正しき診斷が不可能なのは當然です。正しき診斷治療はその疾病の本態を正しく把握しておらなければならないが,Tr.の本態は慢性肉芽性結膜炎だとは決定しているが,その原因は單一か,單一でないかは未決定です。Tr.は早期に受診し初期に完全に治療せねばならぬと患者にいうが,そういう眼科專門醫師自身でTr.の初發病状が曖昧模糊でわかつていない方がいる。Tr.の眞の初發病像及びその經過が末決定の現状で,どうして眞の適正な治療が實施されましようか。Tr.が,Sulfa劑で根治出來るとか,出來ないとか,抗生劑はTr.に萬能とか萬能藥でないとか論じているのはTr.の本態を正しく把握してない證據です。
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