談話室
歐米を巡りて(その2)—ジュネーヴ會議記
三井 幸彦
1
1熊大
pp.571-575
発行日 1952年7月15日
Published Date 1952/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201227
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まづ最初に前回書き殘したロンドンから東京までの記事を書こうと思う。そのあとでジュネーヴ會議」出席の事にふれよう。ジュネーヴ會議での決定事項は皆樣の一番關心を持たれる所と思うけれども,現在その公表を禁ぜられているので,いささか内容が物足りない事に就てはお許し願いたい。
Istanbulに向う私の搭乘機は豫定より18時間遲れてLondon空港を離陸した。これはもつけの幸であつた。私はその後も2回この同じコースを飛んだけれども,豫定通り飛んだのでこゝは往復とも夜中になつた。それがこの時は幸い陽のある中にアルプスをとびこしてくれたのだから,何が幸になるかわからない。機上から見たアルプスの景觀,しかもあくまでも澄み切つた大氣。これは何者にもたとえ樣のない雄大且つ壮嚴のものであつた。機がアルプス上空を越すのと陽がアルプスの彼方に沒するのと同時だつた。そしてユーゴースラヴイヤ,ギリシアの上空を經て,イスタンブールに着いたのは夜も大分ふけてからだつた。
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