談話室
歐米を巡りて
三井 幸彦
1,2
1熊大
2WHOトラコーマ委員會
pp.291-292,352-355
発行日 1952年4月15日
Published Date 1952/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201146
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世界保健機關(WHO)のトラコーマ委員會に出席する序に,黄部省の好意で歌米各地を視察することになつて,昨秋10月私は日本を出發した。併し私が滯米中に委員會の豫定が變つたため,WHOのFellowshipで中東及びアジアのトラコーマ國を訪れて,その調査をすることになり,米英に次いでトルコ,レバノン,エジプト,印度,シヤムを歴訪して歸つて來た。短い期間にあまり多くの仕事が待つていたけれど,先方で一切準備をしておいてくれたので,一瞬の無駄もなく仕事をすることが出來た。普通に旅行したら1年かかつてもこれだけの仕事は出來なかつたろうと思つたが,又その反面非常に忙しくて休む暇もなかつた。
飛行機の旅は快適そのものであつた。そして地球は非常に小さく見えた。時間を極度に節約するため,小さな局地旅行も全部飛行機を利用した。これは先方の計畫によるものであつたけれども,この飛行機による小旅行は概して失敗に終つた。ニユーヨークからワシントンへ,カイロからアレクサンドリアへ,又印度のデリーからパキスタン國境に近いアムリツアルへ,いずれも飛行機で日歸りの旅行を試みたのであるが,仕事が豫定通りすまなかつたり,天候の都合で歸りの飛行機が缺航したりして,歸りは何時も夜行列車になつてしまつた。日歸りに成功したのはホノルルからヒロへ行つた時だつた。もしこれに失敗したら歸りは一日船にゆられ,しかもサンフランシスコ行きの飛行機に乘り遲れるところだつた。。
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