新刊紹介
—桑原安治 著—可動性義眼手術(圖解手術叢書)
中村 康
pp.255
発行日 1952年3月15日
Published Date 1952/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201112
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動く義眼と言うのは只眼摘出或は眼球内容除去しただけで義眼を挿入すると上眼瞼が陥凹する上に外眼筋の運動範圍がせばめられる爲め,外觀も惡ければ義眼の運動も充分でないので,之を補うのを目的として考案された手術である。專ら米國で工夫され米國Levinstotne書律からもPrince.J.H.がRecent Adva-nce in ocular Prothesis (163頁1100圓)を出版している。
「動く義眼の手術」は眼窩の中に眼球に代る同じ大さの球形物(義眼臺)を入れ之に外眼筋を縫合固定するのである。此球形物は異物であるから眼外に押し出そうとする眼窩組織力の働くのと眼筋が之と癒着したがらないのを何とかして眼窩内に治めようと色々考案がめぐらされているのである。義眼臺にバスケット型,ヤグラ型,磁石型,釦型等色々のものがある。本書では桑原博士が工夫考案された釦型義眼臺を使用しての手術々式及成績が精細に述べられている。圖解手術叢書は元々著者の術式を圖解するのを目的として編輯されているので其で差し支えないのだけれども読者の側から言うと外國での發達の經路は述べられているが,最近遲ればせながら本邦では色々な形の義眼臺を使用して「動く義眼の手術」が試みられ發表されているのであるから其も總括して一寸觸れてあると博士の術式の利點がはつきりしてよかつたと思う。良書として推薦する。
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