新刊紹介
—宇山安夫著—白内障手術とアレルギー性眼内炎(醫家叢書)
中村 康
pp.253
発行日 1952年3月15日
Published Date 1952/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201110
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白内障手術はペニシリンが出てから化膿が尠くなつたので其程心配しないで手術が出來る。然し後療法と言うものは依然として六ケ敷く,前房出血,虹彩炎,緑内障,前房形成遲延,等々眼鏡を裝用させる迄には隨分色々と心配させるものである。就中術後虹彩炎り併發は不愉快なものゝ一つであるが,宇山教授は其の因つて來る原因を水晶體蛋白によるアレルギー性眼内炎に求めEndo-phthalmitis phacoanaphylactica(水晶體アナフィラキシー性眼内炎)とし之を未然に防ぐ爲めに水晶體蛋白による皮内反應を檢査することを唱導している。そして尚本症と交感性眼炎との類似點をあげ,更に交感性眼炎への移行,誘發に就て述べている。そしてアレルギー性眼内炎を併發したら先ず殘留する水晶體物質を創緑再開の上速刻除去すべきである事を述べている。
小册子であるが其の説く所懇切であり,研究する處深く醫家叢書に加えるには過ぎた論説である。開業して白内障手術を行い一度でもこうした虹彩炎の併發に苦しんだ方々は本書を一読することによつて大に啓發されることゝ思う。良書として推薦する。
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