〔Ⅲ〕私の研究
トラーコーマ病原體の家兎尿道,腟竝に結膜に於ける實驗的研究
太口 正道
1
1北海道帝大眼科教室
pp.139-145
発行日 1947年9月20日
Published Date 1947/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200209
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トラコーマは年々減少の傾向にあるとは云ふけれども,吾が國に於ては未だ等閑視することの出來ない疾患である。そしてその病原に關して最も問題視されるものはプロワツエック氏小體(以下P小體と略記する)である。又P小體は人間の泌尿生殖器粘膜に證明され,且その泌尿生殖器粘膜にP小髄を認める母の初生兒の結膜にもP小髄を認めることのあることも既に明らかである。私は北大眼科教室貯藏のトラコーマ材料(トラコーマの家兎睾丸累代接種によつて反應を呈した家兎睾丸一日眼第39卷,第42卷,第43卷,第44卷等に越智名譽教授,藤山教授が詳述された)を使用して,92頭の成熟した家兎に就いて,トラコーマ病原體は,家兎の泌尿生殖器點膜及び結膜に於て如何なる態度をとるものであらうかとの觀點より實驗的研究を行つた。即ち第一にトラコーマ病原體として,家兎睾丸累代接種に於て反應を呈した睾丸組織(生理的食鹽水乳劑として貯へられたもの及び50%グリセン中に貯藏されたものを使用した。
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