綜説
トラコーマの化學療法
三井 幸彦
1
1熊本大學
pp.145-148
発行日 1951年3月15日
Published Date 1951/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200793
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Aureomycin次いでTerramycinが出來て,トラコーマの化學療法が完成されつゝある事は,私共の最も喜びとする所である。
私共がTerraの研究をはじめた動機は,昨年5月にかねてから研究交換を行つていた加州大學Thygeson教授から,Terraという新しい抗生物質が第4性病に有効だというから,これと近親關係にあるトラコーマにもきつと有効であるにちがいないという知らせを受け,1瓶のサンプルを入手した事にはじまる。次いで同教授の配慮により製造會社であるPfizer製藥會社のHobby博士からTerraの眼科領域特にトラコーマえの應用の研究を依頼され,大量の藥を送つて貰つたので研究は順調に進む樣になつた。この間手持の藥が一時不足したのであるが,傳研荒川博士の好意で細谷教授手持ちの1瓶を贈られ,研究中斷の危機を救つて頂いた。Aureoに就ては1948年の暮Thygeson教授から連絡があつたのであるが,當時アメリカでも入手困難で,且つ非常に高價であつたので,私共は入手の機會がなかつた。昨春豫研梅澤博士から少量を分與されてはじめて研究に着手出來た。その後私共の研究成績を雜誌で見たAmerican Cyanamid Co., Lederle Division(Aureoの製造會社)のZink博士は,私共の研究を援助しようと申し出て呉れた。
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