眼科醫の知識
A滲透性出血と破綻性出血/B動静脈吻合
pp.357
発行日 1950年9月15日
Published Date 1950/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200660
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正常なる状態に於ける血液と組織間との物質代謝は極小血管の一部に於て行はれ主として血液の液体成分が管壁を滲透して組織内に侵入し組織内の老廢物の一部が管内に吸收されるとされて居るが血管壁が障碍さるれば成分迄管外に出される.此程度が最も強くなると血液全成分が管外に出る事になるが赤血球は一番最後に出る.極小血管に最も定型的な滲透性出血を見る事が出來るのは火傷の場合である.此際には赤血球の一箇一箇が障碍された極小血管壁に浩うて多数滲透する貌が良く観察出來る.而て赤血球の滲透が認めらるゝ場所はa1及v1〜v5又はv6で其他極小血管からの滲透は確める事が出來なかつた.
急性結膜炎の際又はヒスタミン,ヂオニン等の塗布或は点眼に依つても赤血球の滲透を惹起する事があるが此際の滲透性出血の経過は当初は正しく赤血球の滲透であるが此滲透は極小血管壁に沿い平等に起る事少く極小血管の限らたれ場所である事が多い.其場所ば普通殊a1にv1〜v2の或限られた場所である.而て此の頗る限局された滲透性出血は周囲血管壁に同樣の出血を引き起す事なく然も某局所の出血は更に進行し遂には小破綻性出血を引き起す.斯くして我が日常経験する小点状出血は形成される.
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