症例集
B.C.G.接種を受けた事のある人のフリクテン—(第Ⅳ報)自然感染後も「ツ」反應陰性に終始した「フ」に対する考察
小原 博亨
1
1名古屋鉄道病院
pp.133-135
発行日 1950年4月15日
Published Date 1950/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200556
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緒論
E.C.G.接種を受けた事のある人は受けた事のない人に比して自然感染陽轉率が少いと云はれ,其の原因はB.C.G.接種に因て或る程度の免疫が出來て居るから非常に少い感染量の結核菌が侵入しても病巣は出來るが,強いアレルギーが起らない中に其の病巣は治癒してしまうのではないかと想像されて居る.
予は前膊にB.C.G.の膿瘍形成後の瘢痕著明なものに「フ」発生し「ツ」反應は陰性に終始し,然も胸部レントゲン像には拇指頭大の著明な浸潤を認め夫が間もなく消失した1例を経驗し,B.C.G.接種者の自然感染陽轉率の少い現由に対する想像が正しい事を実証するに足る1例を報告し,B.C.G.に因る副作用としての「フ」に合併した胸腹膜炎に対する考察に迄言及したい.
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