臨床實驗
諸種眼底疾患に於ける網膜黄斑部毛細血管血圧の研究—第1報 中心性脈絡網膜炎に就て
宮田 五郞
1
1慶大眼科
pp.532-535
発行日 1949年12月15日
Published Date 1949/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200494
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒論
眼疾患と血圧との関係に関する研究は從來既に多数の業績が発表されているが,之等は主として上膊動脈の血圧との関係に対する考察であつて,網膜中心動脈血圧と眼疾患との関係に就ての研究は未だ多くはない.即ち,Magitot, Bailliart,Voncea, Baurmann, Lauber等の諸氏が夫々2.3の眼疾患に就て網膜中心動脈血圧を測定したが,我國に於ては北堀,菅沼,長谷部氏等がその成績を発表しているに過ぎない.又皮膚毛細血管の形状と眼疾患との関係に就てはScheerer氏等の研究があり,我國では三條,松山氏等の業績がある.然し眼内特に網膜の血液循環状態を比較的容易に且つ正確に知る事の出來る網膜毛細血管血圧と眼疾患との関係に就ては,その研究は皆無と云つてよい状態である.僅かにScheerer, Hornik-er氏等が網膜毛細血管の血球運動状態を内視現象を應用して形態的に分類観察したに過ぎない.我國では菅沼定明氏が植村教授の内視現象観察裝置を應用して,高血圧患者の少数例に就てその網膜黄斑部毛細血管血圧を測定した報告があるのみである.
此処に於て私は諸種眼底疾患に際して網膜黄斑部毛細血管血圧を測定することは,網膜の血液循環状態を知る爲に極めて重要且つ興味ある問題であると考えたのである.
Copyright © 1949, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.