臨床實驗
網膜色素變性症の研究(其5)—網膜色素變性症患者血清の蟇の摘出心臟並に血管に及ぼす作用に就て
緖方 昇
1
1國立熊本病院
pp.249-251
発行日 1949年6月15日
Published Date 1949/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200383
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緒言
網膜色素變性症の原因に就ては古來種々の説があるが,最近内分泌異常に其の原因を求めんとするものが多い.即ち本症患者には體格倭小,高血壓,月經異常,インポテンツ等を合併する事多く内分泌異常が深い關係を有するであらう事は考えられる.而して其の病竈は,腦下垂體,副腎,間腦,甲状腺等が考えられているが其の實驗的研究は未だ極めて少い.又一種のToxiämieを想像する人もある.今若し内分泌異常又はToxiämieがあるとすれば,患者の血清又は尿は健常者の其れに比して何等かの方法で差異を認め得べきである.先に永山氏は本症患者の尿を家兎の靜脈内に注射して,其の甲状腺に變化を起さしめ,出田氏は白鼠の網膜細織呼吸に對して患者血清と健常者血清の作用に差を求めんとしている.
余は本症患者血清と健常者血清との蟇の摘出心臓及び血管に及ぼす作用を比較し,其の間に屡々差のある事を認めて興味を感じたので茲に報告する.
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