特集 眼科臨床の進歩Ⅱ
網膜の化學
網膜の組織化學—附網膜色素變性症
宇山 安夫
1
,
山本 保固
2
1阪大
2阪大眼科醫局
pp.706-710
発行日 1953年11月10日
Published Date 1953/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201623
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眼は特殊な器官で,角膜水晶體及び網膜といつた透明な組織が存在し,特に網膜は感光機轉の行われる場所として,最も重要な役割を果している。事實,角膜や水晶體が溷濁すると,角膜移植とか水晶體摘出といつた手術がなされているが,網膜に對しては斯樣な侵襲を加えることが許されないのは,網膜の機能がより複雑である證左である。
網膜は僅か1mmにも足りない薄い膜であるが10層にも區分され實に3種のノイロンが存在している。視紅の分解並びに再生に就て,或は網膜の新陳代謝に就ては化學的に,電氣生理學を應用しては物理學的に研究されて來たが,これ等の方法で得られるのは網膜全層を總括しての成績であるので,網膜の何れの部位にどんな物質が存在しているか,又どんな細胞がどの樣な結びつきをしているか等といつたことは組織化學的に或は組織學的に検索しなければならない。
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