臨床實驗
網膜アンギオ.グリオージスと見做すべき1症例の長期觀察に就て
大岡 良子
1
1慶大眼科
pp.245-246
発行日 1949年6月15日
Published Date 1949/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200381
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緒言
網膜血管に變状を來す網膜疾患中に,ヒツペル氏病或はリンドウ氏病及び,コーツ氏病あり.此等疾患は本態に就ては未だ定説を得ず.
然し共通なるは膠質組織の増殖なり.島津,小口,中島(實)氏等は各々病理組織學的に精細なる檢索を行い,此等疾患の本態は膠質組織増殖症にして,本態的に同一源と見做し網膜アンギオ・グリオージスなる名稱のもとに,一括すべきなりとせり.菅沼教授も「此等疾患の如きは病理發生學上では網膜の(或中樞神經系の)血管膠質組織増殖症なる一病屬に一括すべきものであると信ず.只何等かの二次的病機で前者に於ては血管の變化が著明となり,後者に於ては滲出機轉が主として吾人の注意を惹くに至るものである」と.更に「此等疾患の他に尚ほ同一病屬(血管膠質組織増殖症)に屬すると思われる一種の網膜疾患がありて,一見すると其の檢眼鏡的所見は結核性網膜靜脈周圍炎(再發性青年性網膜硝子體出血症)に似ているため,此の兩者の混同が少くない」と述べ,結核性網膜靜脈周圍炎として診斷されたる患者中に,この腫の網膜血管膠質組織増殖症を有する症例を日眼39卷に報告せられた.
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