Ⅱ臨牀實驗
結核性網膜靜脈周圍炎の豫後に就て
今泉 龜撤
1
1東北大學眼科
pp.200-203
発行日 1949年5月15日
Published Date 1949/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200368
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如何なる疾患でも豫後と云うものは長い經過を觀察しないと斷定出來ないし,殊に本症の如き長い經過中に度々再發するに於ては,豫後の判定は益々困難な理である.本症は最も働き盛りの外觀比較的健康相に見える男子を多く侵し,屡々失明の不幸を招く疾患であつて,斯る疾患の豫後を入院中の諸檢査に依つて少しでも豫測することが出來れば.本症の治療上大きな貢献を齎らすものと考え,各方面よりこの豫後の吟味を試みた.
症例は當教室に入院した若年性再發性網膜硝子體出血中,眼底に明かに離脹周圍炎を確認し,諸檢査により結核性と斷定出來て,Fleischerの所謂再發性網膜硝子體出血の本態とした結核性網膜靜脈周圍炎と診斷し得る64例,119眼を研究對象とし,ワ氏反應陽性或はBurger氏病,及び本症としてな疑わしき疾患でその原因の曖昧なるものは凡て之を除外した.而して豫後を良好,不良及び未定の3つに區別し,豫後の良好なものとは1)網膜域は硝子體の出血が再發しなくなつて,2)視力0.1以上に改良し,3)線内障,白内障,網膜剥離の如き合併症を伴わないもの.豫良不後なるものとは,1)網膜或は硝子體の出血が尚繰返す危險があつて,2)観力0.1以下に止まり,3)上記の色々の合併症を伴つているもの.また豫後未定とは視力は0.1以上であるが,入院期間が短く,出血再發の危瞼が多分にあつて,豫後が未だ決定し兼ねるものである.
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