書評
《眼科臨床エキスパート》オキュラーサーフェス疾患 目で見る鑑別診断
島﨑 潤
1
1東歯大市川総合病院眼科
pp.876
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410105277
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眼科の魅力の一つに「直接目で見ることができる」というのがあると思う。ラボデータや画像を介しての診断が主体となる他科と異なり,眼科疾患の多くはスリットランプや眼底鏡などで直接見て診断を下し,治療効果の判定を行うことができる。特にオキュラーサーフェスは,そのすべてをスリットランプで観察することができる。眼科医ならば誰でも,オキュラーサーフェスの観察は日常的に行っており,施設や器械によってできたりできなかったりということはない。
すると以下のような疑問が生じる。「誰にでも見ることができるのであれば,誰でも同じように診断できるのではないか?」答えは当然「ノー」である。同じ症例を前にしても,レジデントと専門医ではその診断技術に大きな差がある。ではその差は,接したことのある症例数,いわゆる「経験の差」に由来するのであろうか? これは半分は正解だが,半分はそうとも言えない。確かにスリットランプという単純な器械でもその使い方は奥が深い。しかし専門医の診断技術の神髄は,その頭の中にあると思う。オキュラーサーフェスは診断や治療に頭を使う分野である。眼で見た所見と病歴を元に,頭の中で病態のストーリーを組み立て,それを元に治療計画を立てる。その過程こそが経験の差であり,単なるデータ量の問題ではない。
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