書評
《眼科臨床エキスパート》糖尿病網膜症診療のすべて
池田 恒彦
1
1大阪医大・眼科学
pp.830
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410105266
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本書を一読してまず感じたのは,編集者および執筆者の良い教科書を作ろうとする意気込みと熱意である。もちろん京大,長崎大の糖尿病網膜症を専門とする見識の高い,優秀な先生方によって執筆された教科書なので,その内容のレベルの高さについてはいうまでもないが,教科書が数多く出版されている近年においては,どうしても総括的あるいは一般的な内容になってしまうことが多い。また,教科書は内容的に最新の情報に多少とも遅れる傾向があるが,本書はまさに今,学会で議論されている最新の情報が数多く盛り込まれている。読んでいて非常に勉強になるという意味では,近年では出色のものであると確信する。
具体的な特徴をいくつか挙げてみよう。まず,光干渉断層計(OCT)を中心とした画像診断の領域では常に日本をリードされている先生方の執筆にふさわしく,眼底写真,蛍光眼底写真にOCTを組み合わせて,非常に病態が理解しやすく記載されていることが挙げられる。画像にはおのおの所見が付記されている点も理解を助ける上で非常に有用である。また画像写真がいずれも非常にクオリティが高いのも特筆すべきことと思われる。本書の写真を見ることで,日ごろ何気なく見過ごしていた所見も確実に頭にインプットすることができる。
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