書評
M-Test 経絡と動きでつかむ症候へのアプローチ
水間 正澄
1
1昭和大学・リハビリテーション医学
pp.1005
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104786
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“M-Test”とは,初めて耳にする方も多いことと思う。副題に『経絡と動きでつかむ症候へのアプローチ』とあり,東洋医学的な診断法や治療に関する書であろうことがわかる。
著者である向野義人氏は内科医であるが,長年にわたり鍼灸治療の西洋医学への応用を模索されておられ,従来からの手技を用いて内科診療の中に鍼治療を応用されていた。本書のタイトルである“M-Test”の開発は,著者が現職である福岡大学でスポーツ医学に携わるようになってからであり,あるスポーツ選手を診療したときにひらめいた“症候へのアプローチ”であったとのことである。すなわち,従来の鍼治療の方法である“症状とツボ“との関係で治療を行うのではなく,症状発現の誘因,原因となっている部位や関連する経穴への施術の試みが劇的な効果を示した1例からヒントを得てこの方法の開発につながったというエピソードが,本書の序論につづられている。その後,著者の指導の下で福岡大学の研究グループにより,M-Testはスポーツのみならずさまざまな領域での応用が試みられ,治療法として体系づけられるようになって成果を上げており,近年はその治療効果が海外からも非常に注目されている新しい方法である。
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