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異常値を示す疾患
膵臓疾患の診断法として今までさまざまなものがとりあげられたが,結局は膵外分泌機能検査法が最も適当という線に落着いている.膵外分泌検査法にも各様の方法があるが,現在のところSecretin単独(Secretin Test)あるいはPancreozyminとSeoretinの両方を用いての外分泌刺激法(P. S. Test)が広く用いられるようになった.P. S. Testで異常ありと判定された場合は膵臓に何らかの病変が存在すると考えて大過ないようである.胆石症を含めての胆道疾患患者はしばしばP. S. Test陽性を示すが,この場合の膵には何らかの炎症性病変を伴っているのであって,膵に全く病変がないのにP. S. Test異常を示すfalse positiveの事例はかなり少ないとされている.胃切除例や消化吸収不良症候群で必ずしも膵組織に病変がないのにP. S. Testで異常を示す場合があるといわれるが.その理由は良くわかっていない.低栄養の持続が膵機能障害をきたすのかも知れない.また,肝疾患あるいは糖尿病などでもP. S. Testの異常が相当の率で指摘されているが,これらはいずれも膵実質の病変に由来するものと理解されている.とくに慢性膵炎の診断には欠かせない検査法であり,P. S. Test正常の慢性膵炎は診断に慎重でなければならないとさえ極言できるかも知れない.膵癌でも高率に異常を示す.しかし,膵のう胞のような疾患では異常をきたすとは限らないので注意を要する.もちろん,急性膵炎あるいは慢性膵炎の急性発作期のP. S. Testは禁忌である.しかしながら,膵の病変が軽度の場合にはP. S. Testに異常を示さないことが少なくなく,判定基準の問題ともからんで本法の欠点の1つと考えられる.P. S. Testのもう1つの欠点は,膵の病変を指摘はするが病変の質の診断に対してはあまり大きな情報を与えないという点である.
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