特集 第66回日本臨床眼科学会講演集(1)
Special Interest Group Meeting(SIG)報告
黄斑研究会
伊藤 逸毅
1
1名古屋大学
pp.356-358
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104638
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毎年,日本臨床眼科学会の専門別研究会の一つとして行われていた黄斑研究会が,本年からSpecial Interest Group Meeting(SIG)として行われるようになった。時間はこれまでは木曜日の午前であったのが,木曜夕方の開催となった。この時間はイブニングセミナーと同じ時間帯であったが,テーマが非常にホットなものであったためか参加者もかなり多く,各シンポジストの講演は興味深いものばかりで質問・討論もそれぞれ活発に行われた。
本年のテーマは,「網膜形態評価法はどこまで進歩したか」である。近年,網膜画像診断領域におけるさまざまな面で大きな進展がみられる。最も大きなトピックスの一つは,補償光学(adaptive optics:AO)眼底カメラが市販されるようになったことである。AOは眼底撮影時の収差を補正する装置であり,これを用いると眼底を超高解像度で撮影することができる。このAOを備えた眼底カメラ(Imagine Eyes社,フランス)が本邦でも承認がされ,発売になった。この装置を用いて撮影すると,約4μmの解像度で眼底撮影が可能であり,視細胞を直接可視化できる(図1)。残念ながら,視細胞のなかでも,高密度の中心窩の視細胞(cone)や周辺部の杆体(rod)はこの解像度では写らないが,視細胞単位での眼底評価が可能となったのである。現在はAO眼底カメラよりもはるかに焦点深度の浅いAO走査レーザー検眼鏡(AO-SLO)も開発されており,長期的にはAOは眼底評価に幅広く使われるような時代になっていくと思われる。
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