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臨床眼科9月号をお届けします。今月号では第65回日本臨床眼科学会講演集の7回目となります。この号が皆さまのお手許に届く頃はもうすでにロンドンオリンピックも遙か以前に終わり,第66回の臨眼総会が目前と言ったところでしょうが,昨年の臨眼で発表された報告の原著に目を通して間接的に臨床経験と考察を共有することで眼科の認識を深めるのも一興かと思います。
今月の特集は佐藤幸裕先生による「糖尿病網膜症に対する網膜光凝固の新しいエビデンス」です。前増殖糖尿病網膜症に対して無灌流領域への選択的光凝固の有用性と問題点が分かりやすく解説されています。この研究は日本糖尿病眼学会が行ったRCT(無作為臨床比較試験)の結果で,選択的光凝固の効果については世界で最初の研究となります。私も当学会員としてこの研究に参加する立場にありましたが,諸般の事情により1例しかエントリーできず,わが身の不明を恥じております。佐藤先生をはじめ,糖尿病網膜症治療検討小委員会のメンバーには敬意を表したいと同時に,日本でもこのような多施設研究がさらに多く行われ,新しい知見が世界に発信されるようになることを期待します。また,連載の「つけよう!神経眼科力」では頭頸部外傷後遺症による外眼筋麻痺への対応が石川 均先生によって解説されています。大学で眼内疾患を専門に診ている者としては神経眼科はどちらかというと敬遠しがちです。眼内疾患だと様々な検査法によって可視化が可能ですが,神経麻痺となると勝手が異なるというのが最大の理由ではないでしょうか。そのような方々にとっては,この連載が守備範囲を神経眼科へと効果的に拡大させるのに最適な方法ではないかと自負しています。「網膜剝離ファイトクラブ」も脈絡膜剝離を伴った網膜剝離についてのファイトあふれる検討です。理詰めの治療方針の検討にはいつも感心させられます。最後に「生理活性物質」の連載もいよいよ大詰めに近づいてきました。今回は炎症性疾患に関するサイトカインのシリーズ第2弾となります。秋の勉学シーズンの開幕でもあります。
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