やさしい目で きびしい目で・133
女性に生まれて(1)
上田 真由美
1
1京都府立医科大学
pp.33
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103506
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私は,兄と弟の3人兄弟の真ん中に生まれました。古い考えをもつ母は,常に男子優先で,兄弟げんかをすれば「女の子が負けないといけません」と私をしかり,食事の時にも,数の少ないおいしい食べ物は,まず父,その次は兄,弟,そのあとに私と母という順番でした。そのなかで,私は,男の子に生まれたかったとずっと思っていました。それ故,小学生の時は常にズボンをはいて男の子のようにふるまっていました。中学生になると制服であるスカートをはかなければならず,男の子になることを諦めました。そして大学に入学する際に実家のある京都から高知に転居し,1990年に高知医科大学を卒業,眼科医になりました。その時はじめて,医師として仕事をするうえでの男女の立場の違いを感じるようになりました。
私は,大学5年生のときに10歳年上の内科医の夫と結婚し,国家試験を第一子(長女)出産後に受けることになりました。夫と両親の助けのもと国家試験は無事に合格でき研修医になりましたが,何も考えずに第一子を出産した私は,その後の苦労は予測していませんでした。子供を朝7時から夜10時までおもりさん(自宅で子供をみてくれる個人のベビーシッター)に預け,他の先生方と同じように仕事をしたつもりですが,入局して3か月で高知赤十字病院に転勤になりました。研修医が3か月で他の病院に出るのは稀だったようですが,今になって考えてみると子持だったからなのかもしれません。確かに,仕事は朝9時に始まり夕方6時には終わるので,生活は楽になりました。
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