やさしい目で きびしい目で・134
女性に生まれて(2)
上田 真由美
1
1京都府立医科大学
pp.205
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103545
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長男が入院する際,子供を理由に仕事に穴をあけてはいけないと思っていた私は,京都の実家から母に来てもらい,おもりさんと3人でなんとか乗り越えました。昼間は,私は仕事,母は病院で入院中の長男に付き,おもりさんに夕方の上の子供たちの保育園のお迎えをお願しました。夜に母と私が交代し,母は家で子供たちを寝かせ,私は病院で長男と同じベッドで寝ます。朝7時半に,保育園に上の子供たちを送って母は病院へ,私は仕事へという具合です。夫は優しい人ですが,仕事への責任感が強く,子供を理由に仕事に穴をあけることは決してしません。無事,1週間後に長男は退院することができました。しかし,その時私は,“女性だけがこんな思いをするのはおかしい,今度生まれるときは絶対男性に生まれたい”と思いました。
その後,高知市に戻り,主人は大学病院,私は県立病院の勤務となりました。一番上の長女が小学生になったころ,主人が再び高知県西部の宿毛市に赴任が決まりましたが,子供の教育のことを考え主人は単身赴任することになりました。それをきっかけに,私は実家のある京都に帰り,京都府立医科大学眼科学教室に入局,大学院に入学しました。子供を育てながら仕事を続けていた私には全く縁がないと考えていた研究を行うことができ,また,その魅力に魅了されてしまいました。両親が子供たちをみてくれるので,時間を気にせずに仕事に没頭できました。カギっ子になっていた子供たちは,家に帰ればおじいちゃん,おばあちゃんがいるという生活になりました。兄夫婦も近くに住んでいるので,兄の子供たちと一緒に私の子供たちもよく遊びにも連れて行ってくれました。
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