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連載 つけよう! 神経眼科力・6
複視や眼位異常はどこまで治せるのか?
How far can we manage diplopia and strabismus?
三村 治
1
Osamu Mimura
1
1兵庫医科大学眼科学教室
pp.1474-1478
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103325
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大角度の外斜視でも手術で整容面だけでなく両眼視も回復する!
成人の最も多い眼位異常は外斜視である。小角度であれば両眼視も良好で間欠性外斜視のことが多いが,大斜視角の外斜視では両眼視が不良で恒常性外斜視が大部分である。そのため,眼科医から術後の複視発症の危険性などを指摘され,手術治療を諦めざるをえない患者も多いと考えられる。
しかし,長期間斜視が持続していても視力が良好であれば,大角度の斜視であっても手術によって両眼視が回復するという報告1)がある。筆者らの教室でも近見眼位で80プリズム以上外斜している大角度の恒常性外斜視25例の術前後の両眼視機能を検討した2)。その結果,大型弱視鏡では術前両眼視のなかった44%の患者が術後20%に減少し,立体視は術前20%しかなかったものが52%に増加した(図1)。また,Titmus stereo testでも立体視のみられなかった患者が72%から24%に減少するなど劇的に立体視機能の改善がみられ(図2),極端な外斜視であっても術後に複視をきたすことなく整容面,両眼視機能面とも著明に改善できることが証明された。
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