やさしい目で きびしい目で・121
私の性格―父からもらったもの編
有田 玲子
1
1伊藤医院
pp.37
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103055
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私は小さい頃父が大嫌いでした。父は私が中学の頃,現在の地で内科医として開業しました。開業した頃は,お盆もお正月も休まず,家族サービスはゼロでした。母も小間使いのように働いていました。私は友達のお父さんみたいに日曜日は普通にお休みをして,夏休みやお正月には旅行に行く家庭にあこがれていました。家から出たい一心で埼玉の実家から,わざわざ東京でなく,京都の大学に行き,父の専門である内科ではなく眼科を選んだのです。
そんな私はなんと,8年前から父の隣の診察室で眼科医として一緒に働いています。はじめは反発ばかりしていて,よくカルテの書き方や投薬の仕方,診察方法などで言い合いになりました。でもここ1,2年,やっと私の肩の力が抜けて,距離を置いて父を見られるようになってきました。父は患者さんに尊敬され,信頼され,慕われ,地域に根ざした内科医として必要とされている存在だと気づきました。いくら気張っても,私はそれだけのものをまだまだ持っていないのです。
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