Japanese
English
連載 日常みる角膜疾患・80
マイボーム腺機能不全と角膜障害
Meibomian gland dysfunction and corneal disorders
森重 直行
1
,
西田 輝夫
1
Naoyuki Morishige
1
,
Teruo Nishida
1
1山口大学大学院医学系研究科眼科学
pp.1742-1744
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103011
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
症例
患者:72歳,女性
既往歴:高血圧以外には特記すべき全身合併症はなかった。
現病歴:数年前から両眼の眼刺激感,流涙,眼精疲労,眼瞼掻痒感を自覚し,市販薬を点眼したが改善しないため当院を受診した。視力は右0.6(1.2),左0.7(1.2),眼圧は右14mmHg,左14mmHgであった。涙液分泌機能はSchirmer試験第Ⅰ法で右20mmHg,左24mmHg,涙液破綻時間(break up time:BUT)は両眼とも2秒であった。両眼の角膜下方に点状表層角膜症の集簇を認めたが(図1),涙液メニスカスは正常よりもやや高かった。マイボーム腺開口部は軽度発赤し,一部練り歯磨き状のマイボム(meibum:脂質)が観察された。吉冨式マイボーム腺圧迫鉗子を用いて眼瞼を圧迫し,マイボムを圧出すると,マイボムの分泌がみられた。角膜上皮障害所見,涙液破綻時間の短縮,マイボーム腺の軽度炎症から,蒸発亢進型ドライアイおよびマイボーム腺機能不全に関連した角膜障害と診断した。温タオルによる温熱療法を開始したが,眼瞼掻痒感が持続するため,メチルプレドニゾロン眼軟膏(ネオメドロールEE眼軟膏®)の点入を開始した。眼掻痒感は徐々に改善し,角膜上皮障害も改善した。メチルプレドニゾロン眼軟膏の点入を中止し,温熱療法のみを継続することで,症状が改善した状態を維持している。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.