特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅱ.治療編
2.薬物療法
緑内障点眼薬の基剤と防腐剤
青山 裕美子
1
1岐阜大学大学院医学研究科神経統御学眼科学
pp.252-259
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102963
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はじめに
点眼薬の作用は,まず角膜に接触することから始まる。この点眼薬と角膜の関係は,点眼治療が超長期に及べば,あるいは点眼薬の併用数が増していけばより濃厚となっていき,生涯にわたる管理を必要とする緑内障診療においては,抗緑内障点眼薬による角膜障害にしばしば遭遇する。
点眼薬の構成成分は,薬効を発揮する主薬のほかに,賦形剤として可溶化剤,溶解補助剤,安定化剤,等張化剤,緩衝剤,pH調整剤,防腐剤,粘稠化剤が配合されている。この点眼薬中に配合されている防腐剤の角膜障害については1970年代から報告1~4)されている。その後数多くの抗緑内障点眼薬が販売されるようになり,抗緑内障点眼薬による角膜障害が注目され,その主たる原因は塩化ベンザルコニウムであることが認識されるようになった。今日では,抗緑内障点眼薬による角膜障害といえば,まず塩化ベンザルコニウムが主因として挙げられる。
しかし,ほんとうにそうであろうか。
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