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連載 今月の話題
防腐剤黄斑症
Antiseptic maculopathy
三宅 謙作
1
,
太田 一郎
1
,
扇谷 晋
1
,
三宅 三平
1
,
茨木 信博
2
,
後藤 陽子
2
Kensaku Miyake
1
,
Ichiro Ota
1
,
Shin Oogiya
1
,
Sampei Miyake
1
,
Nobuhiro Ibaraki
2
,
Yoko Goto
2
1眼科三宅病院
2日本医科大学附属千葉北総病院眼科
pp.1303-1310
発行日 2002年8月15日
Published Date 2002/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907831
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防腐剤の入ったラタノプロスト,チモロール,入っていないチモロール,および防腐剤の入った基剤,入らない基剤を使用した術後早期偽水晶体眼の房水フレア値,蛍光眼底造影法で検出できる嚢胞様黄斑浮腫(CME)の頻度を比較した。房水フレア値とCME頻度の増加は防腐剤の入ったラタノプロスト,チモロール,および防腐剤の入った基剤が他のものより有意であり,CME頻度はこの3者で有意差はなかった。この結果は房水フレア,特にCME頻度の増加は主剤より防腐剤(塩化ベンザルコニウム)が有意に関与していることを示唆している。これを確認するために,術後炎症の主役であるヒト水晶体上皮細胞の培養系を使用し,ラタノプロストとチモロールの主剤,および塩化ベンザルコニウムの細胞形態障害,サイトカインとprostaglandin(PG)の産生能を指標に検討した結果,塩化ベンザルコニウムによる細胞障害やサイトカインとPG産生能は主剤に比べはるかに強いことが示された。これらのことは,防腐剤が術後眼の水晶体上皮細胞など創傷治癒過程にある眼内細胞に点眼されることによりPGなどの合成が増加し,CMEなど術後炎症が増強することを示す。このような機序から,ラタノプロストやチモロールなど対緑内障薬点眼で惹起されるCMEが“防腐剤黄斑症”と呼べる側面があることを解説する。
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