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症例
患者:64歳,女性
主訴:左眼痛,視力低下
眼科既往歴:他院で1990年頃に両眼にレーザー虹彩切開術を施行された。
既往歴:特記すべきことはない。
現病歴:1999年に左眼水疱性角膜症と診断された。徐々に眼痛発作を繰り返すようになり,角膜移植の適応があるとして2000年4月に当科を紹介され受診した。
初診時所見:視力は右1.0(矯正不能),左0.01(矯正不能),眼圧は両眼とも15mmHgで,左眼に角膜実質浮腫を認めた(図1a)。また,前房は浅く,虹彩周辺部上鼻側にレーザー虹彩切開術後の虹彩切開創があった。白内障を認めたが,角膜実質浮腫のために眼底の詳細は不明であった。
経過:左眼水疱性角膜症と白内障に対して,2000年6月に全層角膜移植術(penetrating keratoplasty:PKP)+水晶体囊外摘出術+眼内レンズ挿入術を施行した。角膜移植術後,リン酸ベタメタゾンナトリウム点眼を継続していた。角膜移植片は透明性を維持していたものの,術直後から眼圧コントロールが不良となった。リン酸ベタメタゾンナトリウム点眼は継続したままカルテオロール点眼を追加したが,眼圧下降が得られずに2000年10月に左眼の線維柱帯切除術を施行した(図1b)。
その後5年間は安定していたが徐々に眼圧が上昇しはじめ,マレイン酸チモロール点眼,ドルゾラミド点眼を追加しても十分な眼圧下降が得られず,2006年4月に再度左眼の線維柱帯切除術を施行した。術後,角膜移植片は透明性を維持し,現在の視力は左0.6(1.2×cyl-5.00D 90°),眼圧は左9mmHgと経過良好であり,経過中に視野障害の進行も認めていない。角膜移植片の内皮細胞数は徐々に減少しており,初回の線維柱帯切除術直前は2,954/mm2,再手術直前は1,828/mm2,現在は1,256/mm2である。
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