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特集 未熟児網膜症診療の最前線
最近の網膜症の発症および治療状況
Recent development and treatment of retinopathy of prematurity
野村 耕治
1
Koji Nomura
1
1兵庫県立こども病院眼科
pp.130-136
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102595
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はじめに
近年,周産期医療の進歩,ハイリスク新生児管理の向上により1,000g未満の超低出生体重児の出生率および生存率が上昇する傾向にある1,2)。以前にも増して未熟性の高い児が未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)の発症母集団に含まれるようになった結果,重症未熟児網膜症の増加が懸念されるところである。実際,修正在胎32~33週以前,網膜血管の発達初段階で急性発症する劇症型未熟児網膜症が注目されている。治療適応については米国における早期治療を推奨する研究報告の影響が大きく,わが国でも厚生省新分類Ⅰ型の治療基準より早い病期で治療を行う施設が増えている。
翻って筆者が未熟児網膜症の管理を行う兵庫県立こども病院の診療状況をみると,近年,Ⅰ型未熟児網膜症進行例の減少がみられるのみならず,Ⅱ型未熟児網膜症の発症も減少傾向にある。加えて,当院では早期治療の対応をとっていないため治療率も激減している。そこで,本稿では当院における未熟児網膜症の経年変化を示すとともに,診療状況改善の主たる要因と考えられる新生児酸素管理の新しいプロトコールについて解説を行う。また,先の米国の研究報告および早期治療に対する筆者の解釈と考えを述べる。
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