コラム 私のこだわり
広角観察システム
堀尾 直市
1
1朝日大学村上記念病院
pp.373
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102523
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私が広角観察システム(wide angle viewing system)を使った硝子体手術を本格的に始めたのは,2002年11月に藤田保健衛生大学に着任してからだった。その頃は,接触型レンズを角膜上に置いて手術助手が支える方法であったが,一度に広い範囲が見えるのでとても気に入った。その後,そのシステムを2年ほど使っていたが,非接触型レンズを用いた新しい顕微鏡が開発され,その使いやすさに感動し愛用するようになった。接触型では助手の力量により,眼底の視認性が大きく左右される。慣れていない助手の場合には訓練しなければならない。そのことに,少しずつストレスを感じるようになっていた頃だった。非接触型では,すべて術者がコントロールできるため,助手を訓練する必要がない。また,眼球を自由に動かせるため,手術操作が楽である。いまでは,この広角観察システムなしでは硝子体手術をしたくないほど,私にとって必需品になった。
2年ほど前から,学会で広角観察システムのインストラクションコースを行っているが,従来の方法から広角観察システムに替えた医師からよく耳にする話がある。それは,「広角観察システムにして網膜全体を見ながら手術をすることに慣れると,従来の方法に戻れない。従来の方法では,見えないところが多く,そこで何が起こっているか不安になる」という話である。従来の方法では視野が狭く,後極部の処理中に生じる網膜周辺部の網膜牽引や裂孔に気づかないことがある。広角観察システムでは,周辺部も後極部と同時に観察できるので,網膜牽引や裂孔にすぐに対応できる。あるいは,網膜裂孔を未然に防ぐことも可能になる。
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