特集 網膜硝子体診療update
Ⅱ.非観血的治療update
網膜静脈閉塞症に対する内服・点滴療法
張野 正誉
1
1淀川キリスト教病院眼科
pp.101-107
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102464
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はじめに
網膜静脈閉塞症は,日常診療でしばしばみられる眼底出血の代表疾患である。網膜静脈が障害されると,血液が灌流できなくなるために,網膜内に大小さまざまな程度の出血が生じる。視神経内で閉塞すると網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion:CRVO)となり眼底全体に出血が生じる。また動脈静脈交差部で静脈が狭窄もしくは閉塞すると,網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion:BRVO)となり,扇形の出血がみられる。
CRVOは非虚血型と虚血型に大きく分類1)され,前者は網膜内循環に自然回復の可能性を残している状態であるが,回復しても黄斑浮腫による視力低下が問題となる。後者は無灌流領域が10乳頭径大より大きく,レーザー光凝固治療の有効性が唯一のエビデンスとして証明されているが,最終視力は多くの場合不良である2)。BRVOはCRVOに比べて自然回復傾向が強いが,黄斑浮腫が遷延すると視力障害を残す。
本項では,CRVOの非虚血型に対する内服と点滴治療について述べる。
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