特集 網膜硝子体診療update
Ⅰ.検査法update
網膜内因性信号計測装置
花園 元
1,2,3
1キッコーマン総合病院眼科
2国立病院機構東京医療センター臨床研究センター
3理化学研究所脳科学総合研究センター脳統合機能研究チーム
pp.63-67
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102457
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はじめに
眼科における画像診断技術は,近年めざましい進歩を遂げてきた。例えば光干渉断層計(optical coherence tomograph:OCT)は,検眼鏡によって捉えることのできない網膜微細構造の観察を可能にするものであり,網膜疾患の診断,治療に関する従来の常識を一変させるほど臨床応用価値の高いものである。しかし,OCTや走査型レーザー検眼鏡(scanning laser ophthalmoscope:SLO)などの画像診断法は解剖学的構造の把握を目的としており,これによって視細胞をはじめとする網膜の神経活動を捉えることはできない。したがって,網膜機能(神経活動)の他覚的評価のためには,電気生理学的検査である網膜電図(electroretinogram:ERG)がいまでも主要な役割を果たしている。
筆者らのグループでは,神経活動に伴って組織の光反射率が変化する現象を利用した検査法(内因性信号計測法)1~4)を眼底に応用し,網膜神経活動の非侵襲的イメージングを実験動物において成功させている(網膜内因性信号計測装置functional retinography:FRG)5)。
本項では,網膜内因性信号計測法の測定原理,典型的な測定例と眼底の各部位における信号の違い,およびその信号起源について解説する。
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