やさしい目で きびしい目で・99
選んだ道を後悔しない
小泉 範子
1
1同志社大学
pp.385
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102174
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育児と仕事の両立は女性医師の深刻な問題である。私の場合はありがたいことに“そのときにできること”を選択しながら,これまで自分のやりたい仕事を継続することができた。今年で卒後15年目になるが,今春からは同志社大学に新設される生命医科学部(医工学科)の准教授として学生教育,研究に携わることになった。「どうして同志社の先生になったの?」という質問には「教育に興味があったから」と模範的に答えることにしているが,正直なところ本当ではないことをここで白状する。
私は京都府立医科大学の木下茂教授のもとで眼科臨床を学び,長男出産の直後に角膜再生医療の研究と出会った。細胞培養も動物実験も初めてで,数年間にわたる試行錯誤の末,なんとか学位論文を完成することができた。その後,この成果はスチーブンス・ジョンソン症候群をはじめとする重症眼表面疾患の治療法として臨床応用できるようになったのであるが,そのときの感動は忘れがたいものであり,眼科医としての私の進路に大きな影響を与え,現在も再生医療の研究を続ける原動力になっている。
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