特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて
9.結合組織病および近縁疾患
炎症性腸疾患
大橋 広弥
1
1長浜赤十字病院眼科
pp.188-197
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102024
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
疾患の概要
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease)は,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)とCrohn病との総称である。
潰瘍性大腸炎は大腸に限局するびまん性非特異的炎症で,びらんや潰瘍を形成する。肉眼的には潰瘍が多発し,偽ポリポーシスが特徴である。炎症は腸管粘膜,粘膜下層を中心とし,結腸左半に好発する。
Crohn病は大腸に限局せず,口腔から肛門までの消化管全部位に起こりうる。リンパ球・形質細胞浸潤を主体とする非連続性肉芽腫性炎症であり,炎症は消化管壁全層に及び,回盲部に好発する。
両疾患ともに若年成人(10~20歳代)に好発する。性差はない。厚生労働省消化器系疾患調査研究班(難治性炎症性腸管障害)が作成した診断基準(表1,2)に基づいて診断され,厚生労働省の特定疾患に指定されている。患者数は欧米と比較すると1/10と少ないが,1970年頃から年々増加傾向にあり,年間約15%の増加がある。2003年度の報告では,潰瘍性大腸炎77,571人,Crohn病22,395人が登録されている。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.