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全身疾患としてのSjögren症候群
Sjögren症候群とは,Henrik Sjögrenによって1933年に報告された臓器特異的自己免疫疾患であり,涙腺や唾液腺をはじめとする外分泌腺を主な標的臓器として,乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis scicca)や口腔内乾燥感(xerostomia)を生じる。涙腺,唾液腺以外に障害される外分泌腺として,気道粘膜,胃腸,膵臓,腟の分泌腺,汗腺などがある。Sjögren症候群のみの原発性Sjögren症候群と他の自己免疫疾患を合併する二次性Sjögren症候群に分類され,Sjögren症候群の約50%が二次性といわれる。合併する自己免疫疾患としては,関節リウマチが最も多く(40%,逆に関節リウマチの20%にSjögren症候群を合併),次いで全身性エリテマトーデス(30%),強皮症(20%),多発性筋炎,混合性結合組織病の順に多いとの報告がある1)。また,Sjögren症候群には慢性甲状腺炎(橋本病)や原発性胆汁性肝硬変など,他の臓器特異的自己免疫疾患も合併しうる。
わが国における罹患者数のピークは50歳代,男女比は1:14といわれ,数十万人の患者数が推定されている。原発性Sjögren症候群の約80%(10年以上経過したSjögren症候群の約40%)に全身の臓器病変〔いわゆる腺外症状(外分泌腺以外に現れる病変)〕が合併するとされ,腺外症状として,関節痛,リンパ節腫脹,腎障害,末梢神経炎,Raynaud現象,血液異常,紫斑,紅斑,神経障害,心障害,腎障害,薬剤アレルギーなどがある1)。また,Sjögren症候群には,悪性リンパ腫(Sjögren症候群の5%,通常の約40倍の頻度といわれる1))や原発性マクログロブリン血症の合併が知られる。
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