追悼
田林綱太先生を悼む
鈴木 三郎
1
1東京医科大学泌尿器科学教室
pp.871
発行日 1973年10月20日
Published Date 1973/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201703
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昭和48年4月22日未明,田林先生は呼吸困難に苦しみ緊急気管支切開を行なうために母校大学病院に入院した。しかし,その手術をまたず80歳の生涯を終わられた。われら教室員の悲痛の極みである。大学は先生の生前の功績に報いるために5月12日盛大な大学葬が執り行なわれた。
先生は鶴岡より上京し,本学の前身である東京医学専門学校を大正12年春卒業された。日頃畏敬された故上林豊明教授のご指導を受けるために皮膚科教室に入局された。続いて同教授のすすめによつてBern大学衛生細菌学教室G. Sobernheim教授の許に研究された。"Experimentelle Untersuchungenuber Infekction und Immunsierung per os"の論文提出によつて同大学よりDoktor der Medizinの称号を得られた。在欧2年間後,帰朝されて助教授となられた。その当時はUrethrologieあるいはVenerologieにふさわしいいわゆるpetite Urologieに甘じた時代で泌尿器科学は発展の途上にあつた。先生は現在のgrande Urologieに至るまで40余年間撓まず屈しない精神と勉学に専念されて今日の教室を築きあげた。
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