今月の表紙
コロイデレミア
山崎 伸吾
1
,
根木 昭
2
1東邦大学附属佐倉病院眼科
2神戸大学大学院医学系研究科実践医科学領域器官治療医学講座眼科学分野
pp.1765
発行日 2003年12月15日
Published Date 2003/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101505
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症例は39歳男性。中学生の頃に夜盲を自覚し,約10年前より視力障害と視野異常を自覚していた。家族歴は,男性の同胞2人が他医にて網膜色素変性症と診断されているが詳細不明である。当科初診時の矯正視力は右眼前手動弁,左1.0である。前眼部,中間透光体は両眼とも異常なし。眼底は両眼の後極部から周辺部に及ぶ著しい網脈絡膜萎縮がみられた。ゴールドマン視野は右測定不能,左は中心5°のみ残存していた。網膜電図(ERG)はシングルフラッシュ,桿体系,錐体系ともにnon-recordableであった。フルオレセイン蛍光眼底造影では,脈絡膜毛細管板の萎縮のため,眼底全体に脈絡膜中大血管が明瞭に透見された。左眼黄斑部だけは,いまだ萎縮が及んでおらず,島状に背景蛍光が認められている。
コロイデレミア(choroideremia)はX染色体性遺伝であり,母親が保因者になり男子に発病する。本症は1872年Mauthnerにより最初に報告され,choroideremiaは「脈絡膜の欠如」という意味があるが,実際には「欠如」ではなく進行性の変性疾患である。網脈絡膜萎縮を広く記録するため後極部より中間周辺部までパノラマ撮影を試みた。脈絡膜毛細管板の萎縮によりフルオレセイン蛍光眼底造影では普段観察されることの少ない脈絡膜中大血管を,あたかもインドシアニングリーン蛍光眼底造影像をみているかのごとく観察することができる。
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