特集 眼感染症診療ガイド
コラム 眼感染症への取り組み・いまむかし
トラコーマとクラミジア
青木 功喜
1
1青木眼科
pp.58-59
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101417
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トラコーマという病気
トラコーマという名前は,臨床上結膜炎にみられる変化にその起原をもっている。一方,クラミジアは病原体の形にその語源がある。すなわちトラコーマは,結膜に観察されたtrachy(ざらざらな)+-oma(腫瘍)の合成語であり,いわゆる慢性な経過で産生されてくるトラコーマ顆粒の所見に与えられた名称である。小児期に初感染を起こし,再感染を繰り返しながら形成されて行く結膜所見にその語源をもっている。一方クラミジアは,その細胞内の封入体が外套(chlamys)のように細胞質内にあり,細胞核を外套のように取り囲むという,顕微鏡の所見にその語源を持っている。
トラコーマという病気は,紀元前27世紀から中国でトラコーマ治療記録として記載された長い歴史を持つ病気であり,世界の眼科医は,その研究と治療に昭和30年代前半まで多くの時間を割いていた。
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