特集 ベーチェット病研究の最近の進歩
ベーチェット病の疫学
小竹 聡
1
1北海道大学医学部眼科学教室
pp.1308-1310
発行日 2003年8月15日
Published Date 2003/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101345
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はじめに
ベーチェット病は多臓器侵襲性の炎症性疾患で,増悪と寛解を繰り返しながら遷延経過をたどる難治性疾患である。本病は全身のほとんどすべての臓器に病変を形成しうるが,特に眼症状は失明にいたる重度の視力障害を招くことから眼科医としても注意を払うべき疾患である。本病の世界的な分布をみると,地中海沿岸諸国から中東,中国,韓国,日本を結ぶシルクロード沿いに多発している。病因は不明であるが,人種を越えて本病患者のHLA-B51の頻度が高いことから,HLAに連鎖する素因の役割が重視されている1~3)。ただし,発症率の高い日系人でもカリフォルニアやハワイなどの在住者には本病の発症はなく4),内因のほかに環境要因の関与が必要と考えられている。
本稿ではわが国,特に北海道における本病患者の疫学動向を探り,とりわけ眼病変について,最近の患者に変化があるかどうかを検討した。
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