特集 病気の分子細胞生物学
12.眼疾患
ベーチェット病
小竹 聡
1
Satoshi Kotake
1
1北海道大学医学部眼科
pp.496-497
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901778
- 有料閲覧
- 文献概要
[疾患概略]
ベーチェット病は多臓器侵襲性の炎症性疾患で,増悪と寛解を繰り返しながら慢性経過をたどる難治性疾患である。本病は全身のほとんどすべての臓器に病変を形成しうるが,とくに口腔粘膜のアフタ性潰瘍,結節性紅斑や毛嚢炎などの皮疹眼のぶどう膜炎,外陰部潰瘍の頻度が高い。特に眼症状は失明にいたる重度の視力障害を招くことから重要である。世界的な本病の分布をみると,地中海沿岸諸国から中東,中国,韓国,日本を結ぶシルクロード沿いに多発している。病因は不明であるが,人種をこえて本病患者のHLA-B51の頻度が高いことから,HLAに連鎖する素因の役割が重視されている。ただし,発症率の高い日系人でもカリフォルニアやハワイなどの在住者には本病の発症はなく,内因のほかに環境要因の関与が必要と考えられている。
Copyright © 1999, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.