特集 結膜アレルギーの病態と対策
重症アレルギー性結膜炎における巨大乳頭増殖―Inflammation or fibrosis?
加藤 直子
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.150-156
発行日 2005年2月15日
Published Date 2005/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100020
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
春季カタル(vernal keratoconjunctivitis:VKC)に代表される重症アレルギー性結膜炎では,直径が1mm以上の巨大乳頭増殖が生じることが知られている(図1)。そのような症例では,対する角膜にも角膜上皮障害が発生しやすく,重症例では角膜潰瘍などによる視機能障害をきたし患者の社会生活に大きな影響を及ぼす。
アレルギー性結膜炎の診断の一助となる細隙灯顕微鏡所見の1つに,瞼結膜の乳頭増殖がある。乳頭増殖は結膜の隆起性病変であるが,その中心に血管を認めることで同じ隆起性病変である結膜濾胞と区別されることが多い1)。すなわち,濾胞が結膜下組織へのリンパ球の集積であるのに対して,結膜乳頭増殖は線維血管性増殖病変としての性質が強いように考えられがちである。
本稿では,春季カタルにおける巨大乳頭の臨床所見と,乳頭切除標本を用いた免疫染色の結果に基づき,炎症(inflammation)と線維化(fibrosis)という観点から巨大乳頭の形成とアレルギー性結膜炎増悪のメカニズムについて考察する。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.