特集 エコー 診療マニュアル
婦人科
18.卵胞計測
久保 春海
1
Harumi Kubo
1
1東邦大学医学部第1産婦人科
pp.1397-1400
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904983
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卵胞計測のための基本画像
近年,不妊症診療において超音波卵胞計測はますますその重要性が増加してきている。卵胞計測を行う場合,経腹プローブを用いるよりも経腟プローブを用いた方が,画像の鮮明度や操作性において格段に優れている。図1は経腟プローブによって得られる基本的な卵胞計測のための画像を示している。すなわち,経腟プローブを腟内に挿入して,両側腟円蓋部から後腟円蓋部方向にプローブ先端をスキャンしてゆくと,まず太い内腸骨静脈の血流像(V)とそれよりやや細く,拍動する内腸骨動脈像(A)を明瞭にとらえることができる。この2本の血管の走行に沿ってプローブを移動させてゆくと,やがて数個の大小卵胞を含む卵巣像(OV)を認める。この図の卵胞は1個であるが,最大卵胞径(MFD)21mmで性周期D14日目における成熟卵胞(MF)である。この卵胞はD15で自然周期に排卵し,その後,妊娠にいたっている。卵胞計測法としては最大卵胞径のみを計測する場合と2方向,3方向あるいは卵胞面積を求めて,より正確に成熟度を判定しようとする試みがあるが,筆者は臨床上最大卵胞径1方向のみの計測で十分卵胞成熟度は判定し得ると考えている。しかし,卵胞成熟度と卵子の成熟度には排卵刺激を行った場合,多少の差が生じることが報告されている。
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