増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?
Column
卵胞の3D計測
片桐 由起子
1
1東邦大学医学部産科婦人科学講座
pp.260
発行日 2017年4月20日
Published Date 2017/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209051
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卵の成熟度評価には卵胞計測が用いられているが,超音波装置の改良により,球体ではない不整形な卵胞が,計測される断面や角度に左右されることなく,その発育を評価できる卵胞容積測定システムが開発されている.一般的に卵胞計測に用いられているのは,2次元(two-dimensional : 2D)超音波であるが,複数の断層像から立体的な画像が構成される3次元(three-dimensional : 3D)超音波装置を用いることにより,2Dで測定可能な卵胞径に加えて卵胞容積も計測することが可能となる.当院の生殖補助医療(assisted reproductive technology : ART)周期における2Dと3Dによる卵胞成熟評価の比較検討では,採卵決定時の平均卵胞径およびMⅡ卵回収率に有意差はなかったが,MⅡ卵が回収された卵胞を後方視的に検討すると,卵胞容積はすべて2.0cm3以上であった.このことから卵胞発育評価において,卵胞径に卵胞容積が加わることで,卵成熟度評価がより精密になる可能性が示唆された.3Dでは,超音波走査に数秒を要するため,個々の静止画面における計測において2Dより時間を要する.しかし,卵巣刺激により複数の卵胞発育を促すことが標準的であるART周期では,卵胞の重なり合いによりおのおのの卵胞の正確な計測が困難である場合や,卵胞数が多いことによりすべての卵胞を計測するために時間を要する場面が存在する.そのような臨床場面において,3D超音波による卵胞計測の有用性が期待される.
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