特集 ウォーター・ウォーズ—カラダの中の“水”と病気
【疾患別各論〜レアな疾患群】
❷Meigs症候群
礒田 翔
1
1大阪医科薬科大学病院 総合診療科
キーワード:
Meigs症候群
,
良性卵巣腫瘍
,
胸水
,
腹水
Keyword:
Meigs症候群
,
良性卵巣腫瘍
,
胸水
,
腹水
pp.508
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350050508
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CASE 67歳、女性
現病歴:2カ月前から両下肢の浮腫と腹部膨満が出現した。
身体・検査所見:腹部膨満以外に特記すべき身体所見は認めなかった。血液検査ではCA125の軽度上昇を認めたが、腎機能・肝酵素・アルブミン・脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は正常であった。蛋白尿も認めなかった。CT検査では両側の少量胸水、右卵巣腫瘍、大量腹水を認めた。腹水検査では細胞数上昇はなく、細菌培養・抗酸菌培養検査も陰性であった。上部・下部消化管内視鏡検査も特異的な所見はなく、FDG-PET/CT検査でも集積を認めなかった。
悪性腫瘍の可能性は否定的であったため、卵巣腫瘍によるMeigs症候群の可能性が考えられた。本人と家族に他疾患の可能性を除外したこととMeigs症候群の可能性について説明し、同意を得たうえで卵巣腫瘍摘出術を施行した。病理診断は莢膜細胞腫であった。卵巣腫瘍摘出術施行前は腹部膨満感の緩和目的に、腹水穿刺が月2回ほど必要であったが、手術後には胸腹水の再貯留は認めず、Meigs症候群の確定診断となった。術後数カ月後の血液検査ではCA125の値は正常範囲に低下していた。
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