症例
Pseudo-Meigs症候群を呈した卵巣明細胞腺癌の1例
吉本 英生
1
,
小林 寛人
1
,
谷村 悟
1
,
中川 俊信
1
,
川原 領一
1
,
増田 信二
2
1厚生連高岡病院産婦人科
2厚生連高岡病院病理科
pp.1481-1483
発行日 2002年12月10日
Published Date 2002/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904808
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Meigs症候群は(1)原発腫瘍は充実性の卵巣腫瘍(線維腫,莢膜細胞腫,甲状腺腫,ブレンナー腫瘍),(2)腹水を伴う,(3)胸水を伴う,(4)腫瘍の摘出により胸水と腹水が消失し再貯留しない症例,のすべてを満たす症例と定義される.一方,pseudo-Meigs症候群は原発腫瘍を問わず,上記の(2)(3)(4)を満たす症例と定義される.今日までpseudo-Meigs症候群は多数報告されているが,卵巣悪性腫瘍に合併したpseudo-Meigs症候群の報告は少なく,なかでも卵巣明細胞腺癌の報告はない.今回われわれは,胸水のために呼吸苦を訴え,意識消失発作を起こし搬送され,卵巣悪性腫瘍のterminal stageを疑いつつも開腹手術を施行し,術後,劇的に胸水が消失した卵巣明細胞腺癌によるpseudo-Meigs症候群の1症例を経験した.
術後6か月経過した現在,CPT−11とマイトマイシンCの静脈内投与による術後化学療法を行っているが,再発徴候は認められていない.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.